閑散とする街並みに
聳える唯一の旅宿
橙の灯りを落とした
取っ散らかった一室
真白な部屋が真っ黒な
陰で気味悪く染まる
明るみ始めたばかり
狭いひとつ窓を見詰め
その優しい空の向こう
飛び立ちたいと淡く望み
そうまた
行き止まりのない
苦悩の坂道を転げ落ちる
静寂に囚われたまま
項垂れ 重力に抗う
気力さえも失ったように
何を振り返ることも
何を見い出すことも
何を思い描くことも
ちっぽけな
ゴミ屑みたいな自分を
暗い宇宙の果てから
じっと眺めてるみたいで
いつしか本当の
笑顔をどこか遠く
置き忘れて来てしまった
胸に響くどんな言葉も
駆り立てる衝動を
呼び起こすことは
それでもこれでも
腑抜けた気持ち揺すり
しがない道化を
演じ続けることだけが
今日の自分を奮い立たせる
※Even if it's covered in darkness
…闇に塗り潰されても