追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

looking back



冬の通り雨
ばさばさ
と、短く降り弾け
そして途絶え


高角度の
巨大な虹が
七色を携え 昇る


 (これは予兆なのか
 (戯れなのか


色濃い印象が
脳裏に焼き付いたまま


薄い残照が
緩やかな稜線を縁どる刻
遠退く夕空


闇坂に
人影途切れ
寒風が吹き抜ける


寂しさを覚え
振り向いた眼球の上端
真っ白な
斜星は閃く



 僕らはいつも


 時に急かされ
 時に追われ
 時に妥協し
 時に慰められ
 時に癒され
 時と戯れて
 時に微睡み
 時に流される



経過してゆく
この身体も
この積み重ねられる
出来事も
やがては
放れゆき
戻れない過去という海原に辿り着き
散り散りに融け
霧消して
追憶の枯葉に
姿を変える


何事もなかった
かのように
時代は移り
置き去りにされる


この意識の一枚
いずこへ
この地球に
忘れ去られるまで
何処まで
漂ようままに


透き通るだけなのか
果てのない
時という枠組みの
狭間に


それとも
消え去ってしまうのだろうか
何れ
この生きているという
確かな感触からも


それとも
幾億もの思想に
合成された
雑多な幻に
翻弄されているだけなのか


何も
その細やかな
欠片でさえも
残されは
しないのだろうか


いや
だからこそ


唯一無二の
この己が実存する無限の
可能性を
秘めた世界に賭け


pave the way.

























※looking back
(ルッキング バック)…振り返る道のり。



※pave the way.
(ペイブ ザ ウェイ)…道を切り開く。

like me

毎晩のように
浅い眠りの中
がなり立てて来やがる


ねちっこい
過去の記憶を突っぱねて
明けない夜
を蹴り上げる



今日も
継ぎ接ぎだらけ
車検なんか切れっ放しの
おんぼろな身体で


下らない言葉
腹から捻りだし
書き散らしながら


まるで過剰生産
煙突から公害噴火
このどうでもいい
頓珍漢な世界のなかを


大手を振って
問答無用で
歩いていくのさ



俺はろくでなし
等の昔に分かってる
脳足りんなのも
重々承知


お前なんかいらんは
有難い褒め言葉


例え隅っこでも
端でもいいじゃないか
お天道様は
誰でも温めてくれる


いちいち
挫けてる暇なんか
ありゃしないぜ



どぎつい一発
喰らっても
何食わぬ顔して
鼻唄混じりに踏み進む


前進あるのみ
繰り返す日々は
繰り返す為だけに
あるんじゃない


今、この場所に
相も変わらず
ちっぽけでびびりな
己があるのみ


そこからが
いつもスタートだ
全心で打ち込め
それだけを固く誓うんだ
























※like me
(ライク ミー)…自分らしく。

ささやかな幸せ

今日も自分なり
頑張ったけど 
お帰り、なんて


誰も言ってはくれない 


脱け殻になった
独り身の俺だけ


いいさ、いいのさ
ずっこけてばかり
出来損ないのポンコツで


誰に必要とされることも
誰に慕われる必要もない


勝手気儘
気持ち投げ遣り気味に
暮らすのさ



寝床にぶっ倒れ
溜まった疲れを
低い天井にぶちまける


洗濯機回し風呂入り
簡単な飯喰らい歯磨き


せっかちな動画
ぼんやり眺めてたら


いつの間にか
眼鏡を鼻柱に掛けたまま
くたばってる始末



緊迫から放たれる躰
激しい夢の残痕
後味の悪い寝汗


目を醒ましたのは午前0時


切りのない恋歌う
流行りの歌謡曲に
嫌気がさした後みたく


ゆるり軒から
滴る雫
こつこつと弾け


そろり戸を開けると


洗いざらしの
静寂を包む、暗い夜空が
小綺麗過ぎて


荒んだ眼の中まで
優しく彩る