追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で・・・見つけたこと、思ったこと、感じたことなどを綴っています。

爽やかに雲 流れ行く日に

冷たい空気が 淀みなく
さらり 流れ続けて 続けて
林道の木陰


残暑の蝉
鳴き声は絶え間なく 降り注ぎ


思い思いに
幹伸ばす 木々
枝伸ばす 木々


無数の葉は 空を覆いながら
透き間に 白い雲を すす と 流して 流して


風吹く度に
騒いだり 遊んだり 微かに
揺れ動いてみたり


あぁ このまま
気持ちよく 眠ってしまいそう



透明な羽根

果てなく広がる 空想の 色鮮やかに艶めく深く青い海
荒く冷たい潮風に乗り 遠い異国の地から


踊るように 流れ 流されて 流れ 流されて


身体に染み込んだ 茹だるような夏の暑さと気だるさを 追い払うように 
開け放った窓から 滑り込み
僕の住む この味気ない部屋に辿り着いた


君は 何処にも居るはずの無い 
美しい 硝子細工のような水鳥の 薄く 透明な か弱い羽根


宙を ぐるりぐるりと ひらりひらりと
過ぎ去った 昨日から漏れ出すように届く 
涼しげで 柔らかなピアノの音色に合わせるように


緩やかに回りながら 回りながら ふわり降りてきて
胸の前に寄せた 両の手の平の上に そっと身を横たえる


心の中に しんと広がる 決して波立つことの無い湖の 滑らかな水面に ただ一つ乗り
優しく揺らし すっと綺麗な波紋を 作り重ねる


君は 何も持たない僕に舞い降りて来た 小さな幸せ
木陰にひっそりと佇む 幼気な野花の 囁くような仄かな香り
細やかな 安らぎと温もり 
不意に零れ出す 無邪気な微笑み




夏下がり

涼しい風が 事も無げに
一日中ずっと 吹き通うようになって


ベタつかず
身体は さらり 快適で


真夏に惑わされていたのか


目映い あの空も 雲も
賑やかな 街の風景も
騒がしい 蝉時雨も
何時の間にか


少しだけ昨日に
ずれてしまった 残像のよう


木陰のベンチに 腰を下ろし
ほっ として


ふぅ と胸を撫で下ろし
あっ と気付いて


はぁ とどこか 寂しくて