追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

しがなき俺の卑屈な気持ち

どっかに開いた針先程の
小穴から空気の抜けていく
萎んだ浮き輪に掴まって
自棄くそでバタつき


疲れて脚を伸ばしゃ
足着く浅瀬にまだ独りきり
遠い海原はまるで蜃気楼
一向に近づく気配なし


おぅ、見詰める両の瞳は
涙の滲む虚しさの双眼鏡


俺ぁここ数年
無我夢中って程じゃないけど
懸命にぼちぼちとぼり
マイペースで坂道登り
愚痴や文句を吐き捨てながら
それなりん踏ん張って来たと


何と無し、進んでんだか
ぐるぐるぐるぐる廻ってる
ただそれだけなのか
よく分かんなくなっちまう
猛暑に支配された日々に
埋もれて気怠さに骨抜き


小奇麗にデコレートした
胸張り宣言できるような


夢や希望なんて端っから
持っちゃいねーけど
それに似たようなもんが
信号待ち傍の街路樹に
ギンギン喧しく木霊する
油蝉の大合唱の中にあの日
ふわふわ揺れて見えたのさ



台風で花火大会は中止
真夏の愉しい思い出が一つ
おじゃんになった
結局あれかい、辛子の効いた
柔らかい氷柱みたいな
ちべたい心太と盛りのついた
白昼夢みたいなメイクラブ


何の脈絡もねえもんが
朧げな追憶の欠片んなって
どうせまた んばばといつか
粉微塵に砕けてくだけなんだろ
他人のことなんかろくすっぽ
考えてる余裕もなく
いつも目の前の自分のこと


そればかりじゃ
つまんねーのも仕方ねえか


直撃は免れて暴風圏外
車窓には滑りゆく
曇上天に黒ずんだ東郊の眺め
特大ジョロで豪快に水撒き
そんくらいの酷い雨が
ほぼ断続的疾駆の最中に
意気なし何度かじゃじゃぶり


やたらと眠く至極ケツの痛い
長距離ドライブに弾けてた


今年のお盆も行かず仕舞い
かったるい墓参りなんかよ
無料ネット動画の坊さんの
先祖供養のお経を聞き流し
リモートの念じ参り一発で
そ、手っ取り早く済ましたさ
やっぱし俺は汚屑で能足りん
糞罰当たりなロクデナシ野郎だ

With my dizzy head ━抜け出してクラつく頭で━

膨れた熱を孕んだ空気
だらしなく脱力した
昼間の部屋を記憶に浮かべ
寡黙さだけが躰を素通り
浅い溜息 唇から漏れ


静かこめかみに意識は滲む


僅かばかり開けといた
少々破れた障子戸と
格子柄カーテン越しの窓から
未明の涼風 仄かな柔かさが
瞳を閉じた横顔に触れる


その感覚は寄る辺ない
ちゃちな俺の心を
見透かすように沁みて
居たたまれず得も言われぬ
孤独さから逃れるように


二段重ねのボール箱みたく
安っぽい肌色の家をでた


暈け暗の中途半端な時分
ほとんど車の姿も見えない
街道をすっ飛ばしていく
この街で今起きてんのは
コンビニの店員と変テコな輩
新聞配達に勤しむ連中


徐々に掠れ淡くも青く
溶けだす空を見流して
翠黛めざし急坂を駆け上がる
そのうねり登る弓なりのカーブ
豪華な慰霊の花束 瞬時に
脳裡に焼きつき離れねえ


淋しさ清しさ混ざり
不甲斐なさと悔しさ
妙な鬱憤も序でに引きずって
この降って湧いたど辛い夏も
乗り越えて行かなきゃなと
思いを巡らせながら


より高く濃く深く
蛇行を繰る 冷気を帯びた
舗装のいびつな狭路
小型のバイクで漕いで


ああ、氷みたく冷てぇ
モスグリーンのアーチを
幾つも何回も心地よく
潜り抜けているうちに
いつの間にか
辿り着いちまった 
南の湾を見下ろす展望台に


汗だくの気持ち
荒れ風が軽やかに踊らせる


そこには途絶え掛けた
無数に拡がり
散らばる建物の疎らな灯り
パノラマに伸べる
霞み連なる長影絵の島々が
この手で掬えそうなほど
間近にみえるってのに


落ち着いて呼吸を宥め
見守る 細やかに
綺羅つく眺めをそして
消えかけちまう 夜深の魔法
刻々と艶の失せていく
状景から踵を逸らせば


昇りだしたばかりの
数時間後にゃ
灼熱のサンライズ 右の眼尻に
グラスオレンジの光塊が
棚引く燻み雲の積もった
東の彼方の空を
燃やすように眩く照らし
この残酷な世界を、また
入念に染め始めてやがる
























※With my dizzy head…
めまいがする頭で。

what is the new policy  ー何が新しい政策なんだ?ー

ゲリラ的豪雨はstrike
怪しげな鈍雲集うなか
虎視眈々、俺達の動きを
見詰めつつ付け狙い
気が緩んだ隙を突き
意気なし猛烈な水傾れ
一気に打ち撒ける


まるで国家包みの陰謀説


とんでもなく厄介で
狡猾な強か者だが
この蒸し暑い季節には
嬉しいサプライズ
災害も恐いが案外
有難い慈雨にも思えて


昨日も出先で
急に降りだし
慌ててコンビニにかけ込んだ
不用意な出費も仕方なし
簡易の合羽を買ったっけな



ちょいと見上げる明け空に
破れ縺れ垂れさがる
歪み朽ちた納屋の
蜘蛛の古巣に似た暗雲
くそ気怠い夏に
ひんやりと涼しさが
むき出しの肩を撫ぜ
瞼を大きく開かせる


人気ない麓の坂道と
様々な屋根色の住宅群
滑らかな静けさのなか
裏林から湧きだし
入り乱れ飛び交う
透き通る甲高いさざめきが
ゆるりと目醒めゆく表情に
心からの微笑みを呼ぶ



大変な毎日、底辺な毎日
てぇへんな毎日
てんでヘンな毎日
踏ん張って乗り越えて
一呼吸入れてそしてまた
這って登って草臥れて
道草食っちゃ放りだして
それでもしゃーない
無理矢理何とか
やる気捻り天辺を目指す


その繰り返しじゃないの?
俺っちの人生ってふと
振り返り思い起こせば
それだけのことかも
ただそれだけのことかも
知れねえけど
それなりん頑張ったじゃん
どれも大した結果には
繋がらなかったけど
いい想い出にはなんだろ


きっと
ギトギトまた明日っから出勤だ


別に億万長者になんか
成れなくってもいいぜ俺
ネットのお薦め動画のCMじゃ
投資だ起業だ爆食いだって
煽り立ててっけど
何年も非正規サラリーマン
やってる今んとこ
幸い喰うに困ってもねえし
なんとか生活できてんぞ?


これから先はどうなるか
皆目見当はつかねぇが、
物価はずんずん上がるし
賃金は至って変わらねえ
それに輪をかけまた増税
老いていく親と自分と兄弟が居る
それくらいは分かるから
ある程度の蓄えは
小残しながら生きてるぜ



ヤバいヤバい出生率がヤバい
ヤバいヤバい高齢化がヤバい
ヤバいヤバい不景気がヤバい
ヤバいヤバい貧富差がヤバい
ヤバいヤバい偽商売がヤバい
ヤバいヤバい臍胡麻がヤバい
ヤバいヤバい食い物がヤバい
ヤバいヤバい大自然がヤバい



一体そんなにヤバいこと
てんこ盛りの割にゃ
緩ーい雰囲気流れてっけど
たちまちそれって
どーしょーもなくないか?
直ぐにでも明日にでも
どーにかしよーって方
どれ程もいないんじゃね?


そんなの当然だよな
無駄にへ理屈議論で
いくら時間と頭使おうが
そーゆーヒトらの
勝手だけど1銭の得にも
なりゃしねえことに
だらでらのらり連日連夜
付き合わされんのは真っ平御免


一応参考にはさせて
戴いちゃうけど
んなチャンネル即撥ねて
俺は俺なりの自由な妄想
勝手気儘な未来予想図で
悠々堂々と鼻歌まじりに
Washi washi washi と
蟹股で歩ませて貰っちまうだけさ