追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

最底辺から大空へ飛びだす俺感

腰低く優しさせびり
他人の親切
ちょいと拝借
貰うだけ貰って知らん振り
雷型に血走る
黄ばんだギョロ眼で銭金の嫉妬
不幸をほのめかすように
嫌味を浴びせ高笑い


ヘイ、儲け頭のおっさん


なんだか悪い女の霊に
夜な夜な精気を
吸い取られているような
年々痩せ細っていく
老いゆく躰が
皆んな気がかりなだけ


年がら年中
働き通しでもぴんぴんしている
飲んだくれで、
お調子もんの憎めない
スラックスに
ぴっちり折り目の
痕跡も見えないあんた
別に嫌いじゃないぜ



んだから
どうしたってこともねぇ
借金まみれで心配性の
愚痴っぽい
超美人な姉さんのことも


昼夜働き詰めで
疲れまくり、仮眠中
ゴジラ級のヘビーな鼾を
聞かせてくれた
ワイルドな兄さんのことも


仕事中目ぇ離してる隙に
何しでかすやら
ひやひやもん
イケてるアニメ声の
不可思議な早乙女のことも



しばらくの夜勤続き
繰り返す漆黒のヤミ色が
心にまで染みこんで
いつも寝た気がしねえ 
そんなある日のアフタヌーン


慢性の睡眠不足に侵され
ノイローゼ気味の
耐え難い日々に訪れた
奇跡のタイミング
僅かばかり
骨休めのチャンス到来


ピュアネスグリーン
爽やかに広ぐ水辺で深呼吸
ひさびさに
気の済むまですっきりと
じっとり胸に
へばりつく膿を
洗い流しリフレッシュ



峠の頂から長坂道を
一気に駆け降りる
冷たい山気は
氷点下の風になる
そしてこのまま
上昇気流に乗っかって
黄金色の西陽の燃え射す
眩い明るみの彼方まで


離陸寸前の
ジャンボジェットのよう
ドデカい唸り声を上げ
勢いよく豪快に
未だかつてないほどに 
もっとパワフルに
ずっとアグレッシブに 


取り留めなく散らかった
際限のない
この世の生みだす
欲望の果てまで
味噌も糞も
ふんだんにぶち込んだ
ウルトラ最先端妄想型
スカッドミサイルよろしく
今、頭っからぶっ飛んでいきたいのさ

散り終えた桜樹に帰す


気力も尽きそな
だらしなく緩んだ躰で
心も闇の中
人気のない 
繁華街の路地裏を
たわいもない理由で
ほっつき歩いてんだ


ぽつぽつ
頼りないネオンの
薄光んなか
すっとまた一片が
てぃらら、ぴぃらら

漂い踊りながら


前髪を掠め
胸元辺りの
少し先を横切り
不意を突いて
足許に
不時着したりするのさ


そのたびに
真っ昼間の
賑やかな花見の情景が
おでこの広みに
硫黄くさい
マッチ棒の明かりみたく
柔らかに浮かんで



嗚呼、
今年も春が来て
あの花が
淡桃の花たちが、
眩く華やかに
頭上で満開に
咲いてんのかって思うんだ



あれからまた、
一年遠離ってしまったよ


もう、
六年くらいは経つのにさ



メロンカラーのスエット着た
君によく似た娘が
目の前の歩道を
自転車で通り過ぎた
この間の記憶も
夢みたいに現れたり 
視界に透けて


よくワカンナイよな
掴み所のない真夜中
遠目にはカラフルな
夜街灯の群れ
星屑たちが
舞い降りて来たみたいに
ご機嫌な気分にもしてくれる



一体俺は今、
どこにいるんだろうな
きっと
ぼんやりした天国に近い場所で
うとうとしている


ただ、
それだけのことなのかも
知んねぇな


胸につっかえていた
後悔の塊どこへやら 
いつの間にか
息苦しさも晴れた


もしか
虚弱体質で軟弱な
腑抜けた俺が
過労でぶっ倒れでもしたら
花弁の散り終えた
桜樹の根元に埋めてくれ

Very bad, late-night complaints


ふっ飛んでしまえ
地球なんて!
不謹慎なことを考えてしまう
この、忙しい時期に
ろくでもねぇな
こん畜生め


夜更けの闇に囚われて
長閑な風と
月明かりの寂静
断崖絶壁に弛み立ち
有り得やしない
ぶち当たる先の見えない
フリーフォール
ひと思いにこのまま
ダイブしてやりてぇ


丁度いい、この二日
真橙に輝く
如何わしい満月も
祝福してくれてる
何の未練もねーし
取り分け大事な約束もねぇ
身勝手に終末まで
末永く戦い続けてくれ、世界
糞ったれ



 ──今夜も
    夢現の荒波を游ぎ疲れ
    殊更なる、深い眠りで



普遍に続く
記憶に留まることもない
未覚醒で不確かな
非現実の
支離滅裂
超絶カルトムービー




誇大妄想はいつも
夜明けまで空満たす
壮大無限の
青暗みの果てまで
我が儘に放たれていく


憐れみを込めた
優しさが今日も
溝川の汚泥の上に湧いた
ボウフラくらいの魂にも
半分くらいは
届いちゃいるけど


リアルでも、
ちんけな歩兵でしかない
木偶の坊の俺
頭のなかでだけでも
目一杯
悪あがきさせてくれ



 ──今宵も
    夢現の荒波を游ぎ疲れ
  潜り込む心奥の眠りで



不朽に続く
次元に縛られることもない
未成熟で不可解
非具象の
驚嘆喜悦
超絢トランスムービーが続く

























※Very bad, late-night complaints
(とことん不味い、夜更けの愚痴)