冴え澄む冬日は戻らずに翔る
固いプルタブに 圧されて跳ね上がり 淡く香る ソーダ水の細かな気泡が 渇いた喉へとくとく運び転げ 愉快に弾けるように 冷たく吹き競う潮風は 艶めく深い エメラルドを想わせる 水面を乱し踊らせながら その漣を煌めかせて止まない 遠き過去に洗われた 戦渦の面影が入り混じる 弓なりに広い 賑やかな港街... 続きをみる
浅し冬に薫るレモン
暮れなずむ空陽がまた 目まぐるしくものんびりと駆けた 今日へお別れ 色濃く目映いオレンジに光る 背中まるめて ゆっくりと 西に高くはだかる山影に その向こう 谷懐をいくつも跨いだ 港湾から眺める島景にも しっとりと漂い始めた帷のブルーへ 見送られるように じわりと隠れて そっと やわらかに 天上に... 続きをみる