追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

浅し冬に薫るレモン

暮れなずむ空陽がまた
目まぐるしくものんびりと駆けた
今日へお別れ
色濃く目映いオレンジに光る
背中まるめて ゆっくりと


西に高くはだかる山影に
その向こう 谷懐をいくつも跨いだ
港湾から眺める島景にも
しっとりと漂い始めた帷のブルーへ
見送られるように
じわりと隠れて そっと


やわらかに
天上に延べ広がる
虹めく 淡いサワードロップは
薄闇にゆったりと
染み入るように溶かされて
蕩けるように瞳をくぐり ふうっと
冷えだしそよぐ 夕風に乗る

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