追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

その一言が欲しい 僕はただ ーCurrnttly,delusion

誰かしらの
盲点につけ入るあざとさ
を切り落としたい




死貝のように
半開きの 唇
から
立ち上る吐息は すわら
か弱く細く 繋ぎ昇って
天井に打ち当たり
崩れ ゆっくり

弾けるよう 靡いて進め
延べ張り 満たし 淀んで
揺れる




ーーああ、ほら、春風を帯びた
  青空を濁らせてしまった




窓辺から微かに
漏れ伸ぶ
冴えない光がその記しで
まるで、
真綿に染み込む
紫に変色した
ヨウ素液みたく
気味が悪い
心配してくれなくてもいいよ
頭上近くの電線に乗り
そんなに喚いて、雀さん
傷口がまた 擦れて
じゅくじゅく
痛みだすだけだから




ーー僕はまた、
  いつかの 間に合わせの物語に
  綴じ込められたまま
  頬杖をつく




この地球上のどこか
神妙に目醒めた夜に
申し訳程度の
星屑のひと粒が、
幾億の視線の針先で
ひっそり

突っつき回されるのを
じっと
待ち草臥れているだけの
虚しさの布っぱしを
握りしめる
ど田舎無人駅の
鳴かず飛ばずな
親不孝キップ
なのかも知れない、なんて




きっと、もっとずっと
心の奥底では
大好きな君を
ぎゅっと
きつく抱きしめたいのか
それとも、ぐっと強く
抱きしめられたいのか




ーー本音が
  暮れ街のノイズと混ざり
  滲むように ぼやけては 霞んで
  そして、くすんで
  
  収縮を繰り返しながら 
  散り散りに 放れてゆく




真っ黒な巨鉄鍋のなかで
どうしようもない位
熱く煮立った
すき焼きの
ふやけ豆腐のように
とろほろと零れ
箸先で掴めないほど
弛緩したおつむに、
てんてこ舞いしてるんだ




けど、この気持ちは
腑甲斐なさを誤魔くら化すため
の嘘なんかじゃない










*Currently,delusion…目下、迷妄。

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