追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

湿った夕の傍ら

 くるくる 回る
 雨の歩道
 先ゆく、 まあるい  蝙蝠傘も


 ひやり と
 脹ら脛   触れ抜ける
 この小風も   その香りも


 街色を縁どり
 仄明かり 漏らす
 あの 訝り面した 、濁り雲 も



肌寒い朝  眠気を
醒まそうと、欠伸し 捻る
蛇口の取っ手も
テーブルに 並び 賑わす
毎度の   食事の献立も


何気に
スイッチを入れた
TVに映しだされる 眩い光景も
昼夜 休みなく動き続ける
世界の情勢も、  刻々と



 押し黙って  いても
  この地球   だって、 自転し
 つつ   公転して   いる



広い空を流れてゆく
太陽も 月も星達も 僕らを
じっと 見下ろし、 その影と


不意に
眼向けた 文字盤の上で重なる
秒針、長針、短針の  順に


頭のなかに
点滅する記憶も
四六時中  絶え間のない思考も
過去   未来を
拙く 捲る日々と 照らしながら


耳障りな蚊も
いつのまにか  姿を消して
蟋蟀の 細かに擦れる
羽音に変わり
そう 残り僅かな、夏の 季節も



 止めどなく 巡り
 表裏  全方向  あら ゆ
 る  もの が   また、
 揺らぎ   廻る  ゆっ 
 く    り     と


 顕微  鏡で 覗く
 ミクロ  から    宇宙
 機 でも  把 握   しき
 れない    最大限 の
 マクロ   まで    皆、



総ての
偶然に生み出された
 出会いから
避けては通れない、 必然の 別れへと




解けた水滴
 曇りガラスの窓辺に 
 さ迷う 虚無



僕は今、
玉響に委ねた
 朧けな 夢のなかに
 


か弱い
 望みの糸を辿るよう 
軽薄さの 滲む岸辺で



ただ  
その 上澄み を 
 時折か 滑るように  漂う 
それだけの、  燃え尽きそうな  
      逸れ魚なのかも  知れない

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