追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

白む吐息へ 彩る窓辺は こころに悴む冬を跨いで


遠い北から遥々と 
吹き抜ける
上衣を押さえて 爽風颯風
梢より
振り開け、そう
散るら ら るらら



煌びやかな歌声が
響きわたるような
大輪の色葉が 咲き乱れる
鮮やかな 眺望は
春の野原が靡くよう
いずれは総て
羽ばたいてゆく
残された、万枝の巣に
さよならを告げて




 あなたにも
 聴こえるだろうか



 仄か、零れだすような
 ささめき




ひと足先に
撫ぜやかな陽差し

しとしと
漏れだす 雪解けの
せせらぎが、また 快く流る
緩み始めた季節の
少し向こうで
僕らの歩みを心待ちに



いずこの、湖沼や
川浅瀬にも
和気藹々と集まる
渡り鳥たちのように



きっとそこが
常しえの夢に
描いた光を 象る場所と
導を示すかのよう
密やかに
優しく芽ぶいて
出迎えてくれる 暖かな時を





 転寝に寄り
 半歩、現に浸す
 脳裡へ放され




ふいに湧いた
憧憬の絵巻に
そっと重ねて 編み込むよう
悠々と、揺蕩う胸に
未だ 瞬く想いを
ささやかに綴り



徐に起きだし
窓辺で、睫を擦り
もう一度 見定めた
眼前から俄に広がる
秋の終に非ぬ
盛りの映えた 華やかな情景へ
静かに渡し、添わすよう
滑らかに敷き延べ 
艶やかに 澄み広ぐ蒼空へと、浮かべながら

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