追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

quarter rest

散々 降って
また、ちらり

暗宙に踊り始めた
今年の雪はいつまで続く




真っ黒に
塗り潰された夜更け
週末の街灯が
透き通る光で照らしだす
スローモーション
ふわり優しく
何度目の幻想?
数え忘れ 眺めている



空高く、
闇の向こう
飛びたって
自在に羽ばたいている
幾億の
眠れぬ鳥たちの夢
この果てない夜を横切り
翔てゆくのだろう



放たれた
脆い綿羽のよう
そっと
ふらり舞いそそぎ
吸い込まれそうに
しおらしくも
盛んに、乱れる




終わらない
雪片模様のスクリーン




しんと敷かれた
境のない階下まで
絶えず流れ
廻り 移りゆく



くすっ、と最後に
微笑むよう
崩れては 溶け
一つづつ
時を刻む
濡れたアスファルト




また
疎ら、車たちの通り過ぎる
重たげな振動
遠ざかっていく
その、揺らぎながら
霞む残響にも
ひやり滲んで



信号機の青灯が
寝静まる商店街と
新しい
高層ビルが聳える
駅前へと 滑らかに繋ぐ
物寂しい幹線道を
曇りがちな眼鏡に
ぼんやりと浮かべた




日を跨いだ、今夜も
いまだ 昨日から醒めない




黄色く染まる
コンビニエンスストア
本棚の背中
強化ガラスの表端に
つっ立ったまま
傾いた円錐形に
ほどけた明かりが包む
薄れない夜闇を




ただ
降り続くだけ
真っ白な湿り雪たち
耳を澄ませ
まだ、
じっと見上げて み惚れている




冷え切って乾いた
ガス欠気味な 心の裏側に















※quauter rest…
 四分休符。

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