追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

淡き桜は開け 明暗の時を 澄み空に深く刻み

さらり
舞い踊り、
はらり
降りゆく 幾千の花びら
その
芳しい匂いのなか
滑るように
潜りながら
通りすぎる




  目映さの裏
  俯いた世間




  何気に捲る 春の日々




いつの間にか
青い葉の新たに生まれた
細い銀の枝に
柔か花の満ちる
並木の記憶を
思い浮かべて



十余年の歳月
迷いながらも歩み続けた
この道は
君との巡り合わせ
尚も、
固く結び
弛みなく
繋いでゆくようで




  例え、それが
  今ではもう
  信じるに足る
  確かで
  揺るぎない
  想いでは
  無くなっていたとしても




  胸に抱く
  儚い望み
  も、今ではもう
  その欠片にすら
  届かない
  幽かなもの
  に変わっていたとしても




ひとひら

可憐に散り
澄み空に閃き
そして、
振り返らず ゆっくり

季節は廻り



また
薄紅は繁く
盛んに目醒め
暖かな春景色

華やかにも
うっとり
切なげに 彩るのだろう

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