追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

刻の却き 眺め過ぐ夜長の後ろで

変則で命中
深夜勤務
通い途上に立ち寄る
近く藪沼が隠れた
傾き気味の広い路側帯 
細く
伸び掲ぐ外灯の
白明かりに
擦られ
薄く照らし出される



乱れた種々
雑木類の形
輪郭
涼やかで無色な匂い
を呼吸する



足元の先に
絡む迷い草
小さな獣達だけが
入り込めるほどの
隙間を辿る奥まりで
息を潜める闇
また闇
得たいの知れない
深い暗がりから
沈黙を破るように零れ



聞こえ
始める
甲高く




  げぇぁこ、 
  けぇっ、げぁこ けか



   呼応するように
   低く絞る



  ぐゅがっ、
  ぐぃゃ、ぎゅっ ぎぃ




次第にその声は
憚らず堰を切り
量を膨らし
左右に振れる
大合唱の綱引き染みて
吹き出す手前
寸でで飲み込み



ひんやり冷めた
周囲に暫く木霊し続ける
その
蛙達の追い鳴く
声の響きに
心地よく塗れ



毎度のことながら
何にもない夜に
少し高めの西藍空で
優しく光る
三日月がかった月が
ひょっこし

嬉しそにそれを
眺める姿に気がついた

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