追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

Another fall

広く続くばかりの空で
斑に伸べる
鈍色の群雲達に



強い陽熱の
遮られた緩い早朝



そこから漏れだす
一本の優しげな光が



池面に流れる
淡い蒸気霧と静けさ
美しく包み照らし



山中に開けた
見晴らしのよい場景を
クリアに浮きぼる




長息をひとつ放し
何げに俯く視線



足許に吹き溜まる
カラフルな
秋の落ち葉は、まだ



湿ったまま
靴底に砕けず



見回せば頭上を
淋しそうに彩る
いつの間に



ひっそりと染まりゆく
桜並樹の
廃れ葉の群れ



切ない華やかさと
零れおちそうな哀愁




細やかに転がる風が
留まる頬にフロウ



胸焼け起こしそうな
昨今の電波ニュース



明日には簡単に
リセットされる世界



かさつく季節は
移ろいながら
僕だけは変わらずに


















*Another fall
 (アナザー・フォール)…もう一つの秋。

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