追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

dropping memories (滴る追憶)

白黒縞の
小鳥が
無邪気な鳴き声を
砕石塗れの
トラックヤードに転がして
番で
戯れ合う


帆布小屋の
短い桁幕へ
初陽に溶かされた霜が
光る雫を
拵えて
ゆっくり落ちる



その僅かな間、
こんなことを思った


 
 音信不通になった
 知性溢れる
 気を病んだ
 か弱いあの人は


 面白みに欠け
 共感しない俺の
 間抜けな性格に
 きっと
 呆れ果てたのだろう



波形幕の
半円を象る
先端から
じっくり膨らんで


含み増す
重みに堪えきれず
ぱさりと


めぼしいものなど何もない
褪せ草の
鄙びた土地に



 夢中で恋い焦がれ
 断ち切れない
 想いを引き摺り
 もうどうでもいいと
 思えるぐらい長い歳月が
 消えて遠くに


 純真で
 素直なあの娘は
 今どこに居て
 何を望んで
 生きているのだろうか


 
毎度、列島に
混乱を招く大雪が過ぎ
脱力感が尾を引く 時は
翌年にそつなく
捲られたばかり



この真冬の最中
稀にみる
汚れなき快晴の空に
明け方に見つけた
綺羅びやかな満天の星屑を



この瞳の
記憶から
留めどない淡青の眩さに


優しく
結んでもう一度

























※dropping memories
(ドロッピング メモリーズ)…滴る追憶。

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