追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で・・・見つけたこと、思ったこと、感じたことなどを綴っています。

夜雨

醒め遣らない
ぼんやりとする頭で
枕元の小さな目覚まし時計を片手に取り
ゆっくりと顔に近づけ
文字盤のバックライトを
一度だけ点す


2時55分


虚ろな視線は
冷たい部屋の中に溢れる
深い暗闇をさ迷う


何処まで進んでも見つからない
届かない天井を探す
錆付いた釘のよう


ひたひたと
優しい雨の音が
静かに身体を流れ始めると


艶めき滑るような
虹色を帯びた
拳程の大きさの歪なシャボン玉が


眉間の辺りから
ぽんっ と
押し出されるように飛びだし
ふわふわと揺れ動きながら
すうっと宙に高く昇り


魔法が解けるように
ぱっ と弾けては
きらりと消える


あぁ


ひとつは 切なさのようだった
ひとつは 悲しみのようだった
ひとつは 憂いのようだった
ひとつは 虚しさのようだった


マットレスを
ぐっと沈み込ませ
身動ぎもせず
脱け殻のように横たわる僕は


ばしゃばしゃと
けたたましく鳴り響き始めた雨の
激しくアスファルトを叩く音に


そっと瞼を閉じて
心地よく
溺れるように呑み込まれて行く
















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