追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で・・・見つけたこと、思ったこと、感じたことなどを綴っています。

微熱

目映い程に真っ白な広い雪原で
草の葉を求め跳ね回る
一匹の野兎を
足跡増やし
息弾ませながら
無邪気に追い掛ける
幼い 子供の自分


そんなヴィジョンが
虚空を泳ぐ瞳のスクリーンへ
不意に現われ瞬きだす


夕刻降り出した
横殴りの牡丹雪は
夜の帳が下りる頃
ぼたぼたと重い霙になり
やがて
疎らに振り撒かれる
礫のような雨に姿を変えた


翌朝
部屋の窓越しに吹き荒ぶ北風は
一向に止む気配を見せず


鼻水を頻りに啜る僕は
淡い微熱を額に宿し
さして暖かくも無い毛布に包まり
じっと
凍えるような時を数えながら
静かに瞼を閉じる


しんと頬を優しく伝う
透き通る冷気は
柔らかな陽光に煌めく
水面の細波を思わせ


じわり耳を包み込まれ
そっと中を擽られると


心地よく
うっとりする意識は
つうっ と
身体を抜け出し


分厚く青白い流氷の浮かぶ
遠い北の極地まで


刹那
悦び勇んで飛翔した










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