追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

take action

そりゃ仕方がねえよ
不遇な生い立ち呪っても
どうにもなりゃしねえ


その場限りの鬱憤晴らし
気分はすっきりだけど


現状が覆る訳でもねえ
塞ぎ込んでも荒れても
ぶつくさ文句たれても


不満だらけの時間が
悪夢じみた辛い記憶を
過去に残して進んでく



ああ、そうだよな
分かるぜ 言いたいこと
俺も前はそうだった


理不尽なことばかり
天こ盛りの人生だもんよ
腐っちまう時もあるさ


馬鹿でマヌケな俺にも
一つだけ、いえるのは


何もしなけりゃさ
いつまで経っても


その場所に居続けて
草臥れていくだけだぜ?


空から金銀財宝が
降ってくる何てことも
一度もなかったしな


無益に暮らした日々に
おさらばするだけ
行動するしかないんだ



卑屈なままじゃ
どんな小さな良いことも
起こりゃしないのさ


でかい夢想い描こうぜ
不幸な知らせで溢れ返る
ハチャメチャな世の中


少しずつでもダサい自分
変えてくことが出来れば


未来にはきっと、
大きな幸せが育つって
俺は頑なに信じてるんだ























※take action…行動を起こす。

little snow is back again

虚無に支配された
覇気のない胸にぽっかり


口開けた洞穴は深く


だんまりを決め込む
寒風に色褪せた情景は


静かに乾き
だだっ広い峠路の外れに
留まって佇むばかり


表情をなくした顔で
半分気持ちは笑ったまま


誰の為の何ものでもない


上っ面のしがない自分
振り返り見詰めている



だんだんと冷気が
染み込んで薄まる感覚


小っ酷い寒さ通り越し
この躰はやがて無色に



薄汚れて滲んだ灰空が
視界に垂れ込めて澱む


はらり また真っ白な
粉雪をちらつかせながら


霜の降りたベンチに
砕けては、潰れ描かれる


粒大の変てこな雪結晶


何だって今頃
舞い戻って来たのかなんて


そんなこと、多分
俺のほかには誰も
気にしちゃいないだろう


そう、ただ止まっていた
時間が目醒め動き始めた


煙る吐息を眼の前に
そんな気がしただけさ
























※little snow is back again 
 …粉雪はまた舞い戻り。

振り返り物思う淡き吐息と

高く木立の向こう
鈍曇の切れ目に 覗く陽
絡む内の網枝を照らし


麓に急ぎ走る北風が
見渡す情景に染まりゆく
森の樹々を騒がせる


家々で犇めくばかり
人影少ない寡黙な狭道
潜り抜け登った飛び地


散る葉ら宙に踊り
そしてふらり落ち
かさり鳴って舞い転び


路壁の隅へ打ち留まり
また集まる落葉が膨らむ
仲間が増え温かそうに



それだけで何故だか
ぬくもり滲む寂れる心に



すっと見遣る彼方の空
ふんわりと昇れそうな
明るい水彩のキャンバス


南の島までゆらり本当
流され運ばれ穏やかに
トロピカルドリンクでも


海辺で啜り波音を聴き
何でもいいや小説などと
ハンモックに乗っかり


時を忘れて日没までさ
のんびり過ごせたらな
描き視る額の裏側


木枯らしが途端に
鋭く素早く吹き消して
物陰に隠れ またかと
冷えた躰を縮こめた



凍えそな寒さに強張る
骨身、時折震わせながら



この兎年も年の瀬
自分の人生ももう半ば
暮れ入る午後を眺める


腕時計の刻いつの間に
何も決められないままで
このまま行くのもそう


悪くは無いかななんて
ふと忘れては思い返す
こんな何気ない一日でも


何事もなくぶじ過ごせた
中々の良い日だったと


ちょっとだけコミカルで
細やかな幸せの一つに数え
想い出達が揺蕩う追憶の
ファイルにそっと綴じて