虚無に支配された
覇気のない胸にぽっかり
口開けた洞穴は深く
だんまりを決め込む
寒風に色褪せた情景は
静かに乾き
だだっ広い峠路の外れに
留まって佇むばかり
表情をなくした顔で
半分気持ちは笑ったまま
誰の為の何ものでもない
上っ面のしがない自分
振り返り見詰めている
だんだんと冷気が
染み込んで薄まる感覚
小っ酷い寒さ通り越し
この躰はやがて無色に
薄汚れて滲んだ灰空が
視界に垂れ込めて澱む
はらり また真っ白な
粉雪をちらつかせながら
霜の降りたベンチに
砕けては、潰れ描かれる
粒大の変てこな雪結晶
何だって今頃
舞い戻って来たのかなんて
そんなこと、多分
俺のほかには誰も
気にしちゃいないだろう
そう、ただ止まっていた
時間が目醒め動き始めた
煙る吐息を眼の前に
そんな気がしただけさ
※little snow is back again
…粉雪はまた舞い戻り。