追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

little snow is back again

虚無に支配された
覇気のない胸にぽっかり


口開けた洞穴は深く


だんまりを決め込む
寒風に色褪せた情景は


静かに乾き
だだっ広い峠路の外れに
留まって佇むばかり


表情をなくした顔で
半分気持ちは笑ったまま


誰の為の何ものでもない


上っ面のしがない自分
振り返り見詰めている



だんだんと冷気が
染み込んで薄まる感覚


小っ酷い寒さ通り越し
この躰はやがて無色に



薄汚れて滲んだ灰空が
視界に垂れ込めて澱む


はらり また真っ白な
粉雪をちらつかせながら


霜の降りたベンチに
砕けては、潰れ描かれる


粒大の変てこな雪結晶


何だって今頃
舞い戻って来たのかなんて


そんなこと、多分
俺のほかには誰も
気にしちゃいないだろう


そう、ただ止まっていた
時間が目醒め動き始めた


煙る吐息を眼の前に
そんな気がしただけさ
























※little snow is back again 
 …粉雪はまた舞い戻り。

振り返り物思う淡き吐息と

高く木立の向こう
鈍曇の切れ目に 覗く陽
絡む内の網枝を照らし


麓に急ぎ走る北風が
見渡す情景に染まりゆく
森の樹々を騒がせる


家々で犇めくばかり
人影少ない寡黙な狭道
潜り抜け登った飛び地


散る葉ら宙に踊り
そしてふらり落ち
かさり鳴って舞い転び


路壁の隅へ打ち留まり
また集まる落葉が膨らむ
仲間が増え温かそうに



それだけで何故だか
ぬくもり滲む寂れる心に



すっと見遣る彼方の空
ふんわりと昇れそうな
明るい水彩のキャンバス


南の島までゆらり本当
流され運ばれ穏やかに
トロピカルドリンクでも


海辺で啜り波音を聴き
何でもいいや小説などと
ハンモックに乗っかり


時を忘れて日没までさ
のんびり過ごせたらな
描き視る額の裏側


木枯らしが途端に
鋭く素早く吹き消して
物陰に隠れ またかと
冷えた躰を縮こめた



凍えそな寒さに強張る
骨身、時折震わせながら



この兎年も年の瀬
自分の人生ももう半ば
暮れ入る午後を眺める


腕時計の刻いつの間に
何も決められないままで
このまま行くのもそう


悪くは無いかななんて
ふと忘れては思い返す
こんな何気ない一日でも


何事もなくぶじ過ごせた
中々の良い日だったと


ちょっとだけコミカルで
細やかな幸せの一つに数え
想い出達が揺蕩う追憶の
ファイルにそっと綴じて

when to stand up

いつから孤独に
慣れてしまったんだろう
記憶すら霞んで


信頼できる友たち
遠く何処へ
繋がりを断って久しい


振りかえり
気がつけば
長い長い歳月が過ぎ去った


一体どこに
向かって進んでいるのか、
今俺は寒空のなか


矛盾が入り乱れる
思考を頭に抱えたまま


枯れ藪に包まれた道程
手探りで踏み込んでゆく


日々生きる糧を得るため
辛い過去から逃れるため


あたたかで安らげる
新たな未来を掴むために


雑念が飛び交う
思考を頭に抱えたまま


出口はあるのかい?
いや、そんなもの
見当もつきゃしない


盲目にただ、先へと
ひたすらに、先へと
胸に感じる微かな光を信じ


行けるところまでだ
この身体が動き続ける限り


自由を求め
歩み続けるのみさ
気力を失うまで、
最後の一滴が燃え尽きるまで





























when to stand up…立ち向かうとき。