ちるはら ふっと顕れる眼前に ひらちら 宙で瞬くように翻し するいら 浮き廻り漂いそっと 紛れ込む 斑点模様の黒絨毯へ 零れ静かに 降りてゆく花片達 傍えだけの桜並樹 柵に沿い林道の半ば 立ち留まり眺め その儚く麗しい姿を 辺りに立ち込める 甘い香りと 幻景が誘う束の間 夢心地で見詰めた どこへも... 続きをみる
追想の彼方の新着ブログ記事
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漸く訪れた春に 咽び泣く空の下 物憂げに満ちない桜も 艶やかな滴を 弾けそうな無数の蕾に 抱えてはまた零す 灰霧に滲む森 薄暗さ纏う並木道 悲雨に打たれるまま 虚ろな足を運び どこかで逸れた 追憶の欠片にすがる 取り戻せるものは 何にもありはしないけど 気を落とす両肩に まだ半咲きの花弁達を ふわ... 続きをみる
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Even if it's covered in darkness
閑散とする街並みに 聳える唯一の旅宿 橙の灯りを落とした 取っ散らかった一室 真白な部屋が真っ黒な 陰で気味悪く染まる 明るみ始めたばかり 狭いひとつ窓を見詰め その優しい空の向こう 飛び立ちたいと淡く望み そうまた 行き止まりのない 苦悩の坂道を転げ落ちる 静寂に囚われたまま 項垂れ 重力に抗う... 続きをみる
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ああな、まるで 魂を切り売りして 生き延びているみたいだ 誰のどんな役に 立っているとも知れず 俺は自分自身を綴る この減点方式の評価社会 どうにも遣る瀬なく 覆しようも無い real に打ちのめされる度 有りっ丈の思いを 腹から湧きだす渾身の力で 破格の紙切れに注ぎ込む 当たり前だぜ ただじゃ絶... 続きをみる
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立て続けに起こる 職場での不測の事態 careless mistake やってらんねえな くだらない記憶夢に 柔頬をつねられ 起き抜けの重い瞼擦る めちゃんこ寒い未明 引っ込んだ空きっ腹で 齧り付く菓子パン 淹れたて熱々の緑茶 パンチの効いた渋みで覚醒 分かってんだよ 俺の所為なんだよ全部 手痛い... 続きをみる
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何ーにも plan通りに 運びゃしない そんな塩っぺえ時が 歩む背中に積もる日々 後味の悪い昼間の 気疲れ癒そと Free Tube ずらり並ぶお勧め動画 たらたら眺めても 毎晩お約束の タイトルばっか pick up うんざりし過ぎ click して観る気もしねえ 重い溜息と一緒に 諦めた指先で... 続きをみる
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It's not that I don't like it, but
noiseに占拠された すかすか髑髏の頭ん中 今、俺はいねぇな 草臥れてもないのに 何の考えも湧きゃしない 高台にどっしりと鎮座する 洋城のような完璧なビル群 その周りに配置された 振動する金属boxの臓器 格子状に登り繋ぐ 亜鉛色の夥しい組鉄骨 血管みたく枝分け走る 重硬な鋼配管に囲まれた 機械... 続きをみる
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まるで世紀末のよう 有り得ねえ年明け 地震に火災に殺傷事件 とうの昔に 過ぎ去った筈なのにさ 世界の最期が 近付いてそな嫌な予感 どこまで走って 逃げてゆこうが実際 地球は丸いんだ また同じ居場所に 舞い戻って来るかな だからって 何もしない訳にも 行かねえだろうから いよいよその時 がくれば大枚... 続きをみる
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そりゃ仕方がねえよ 不遇な生い立ち呪っても どうにもなりゃしねえ その場限りの鬱憤晴らし 気分はすっきりだけど 現状が覆る訳でもねえ 塞ぎ込んでも荒れても ぶつくさ文句たれても 不満だらけの時間が 悪夢じみた辛い記憶を 過去に残して進んでく ああ、そうだよな 分かるぜ 言いたいこと 俺も前はそうだ... 続きをみる
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虚無に支配された 覇気のない胸にぽっかり 口開けた洞穴は深く だんまりを決め込む 寒風に色褪せた情景は 静かに乾き だだっ広い峠路の外れに 留まって佇むばかり 表情をなくした顔で 半分気持ちは笑ったまま 誰の為の何ものでもない 上っ面のしがない自分 振り返り見詰めている だんだんと冷気が 染み込ん... 続きをみる
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高く木立の向こう 鈍曇の切れ目に 覗く陽 絡む内の網枝を照らし 麓に急ぎ走る北風が 見渡す情景に染まりゆく 森の樹々を騒がせる 家々で犇めくばかり 人影少ない寡黙な狭道 潜り抜け登った飛び地 散る葉ら宙に踊り そしてふらり落ち かさり鳴って舞い転び 路壁の隅へ打ち留まり また集まる落葉が膨らむ 仲... 続きをみる
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いつから孤独に 慣れてしまったんだろう 記憶すら霞んで 信頼できる友たち 遠く何処へ 繋がりを断って久しい 振りかえり 気がつけば 長い長い歳月が過ぎ去った 一体どこに 向かって進んでいるのか、 今俺は寒空のなか 矛盾が入り乱れる 思考を頭に抱えたまま 枯れ藪に包まれた道程 手探りで踏み込んでゆく... 続きをみる
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待っているのかも知れない あの日からずっと 遠く夕陽が照らす 東の暮れ空を見詰めながら 待っているのかも知れない 記憶の中でずっと 薄闇に染まる峠の池畔 冷たい風吹くベンチに佇み 震える手の平を擦りながら 追憶に転げ増えゆく落葉 待っているのかも知れない 何もかも無茶苦茶に ぶち壊してしまいたい衝... 続きをみる
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名無し草 ─At the foot of the usual road─
西空へ夜はぐれ星残し 明るみ始めた 仄暗い早朝の幹線道で 排煙の苦臭いトラック 疎らな車達がすっ飛ばす 俺は俺でいつものよう 気忙しく心拍数を上げ 原チャを唸らせて 小賢しく、ぶっ飛ばす 山裾のバイパスを潜る 脇道へと左折する 道なりに進んでいけば 痩せ川の橋路に繋ぐ高架下 辿り登る緩い勾配の頂に... 続きをみる
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きっと 逃避願望なんだろうな 冷んやりとする山気 狭い登坂路に被さる木陰 久々のんびりとした ブロッコリー型の雑林 入口付近に届き集まる 極めて密やかな囀り 何気に胸撫で下ろし 兎にも角にも落ち着く 山裾のありふれた場所 無心でゆるり歩みながら 寒気に移ろう樹々や落葉 周りの景色を眺めている 舞い... 続きをみる
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ゴォンロゴロゥリリー グヮォンダウダララー 二日間もお休みもらいの 薄暗い部屋に日がな一日 ぐでぇっと寝そべり お前何してんのかって? 捻ってんのさぁ スッカラカンな頭ん中で なんかわかんないけど、 いいアイデア湧いて 出て来ねえかなって 気張ってもいるんだぜ う゛~ん ブホブリバリビリっ!! あ... 続きをみる
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angel of literature ─液晶パネルの向こう側に─
君のなかには 早朝の湖を臨むごとく 取り乱すものが微塵も見えない 透明なそよ風にそっと 送られてくるような手紙 受け取るだけだからかな 一体どこにいるんだい? とても柔らかに澄んだ 仄か柑橘の香りが浮かぶ 君はエンジェル 俺のなかで届かぬ距離 いつも遠くから俺を見守り 安らぎを与えてくれる そして... 続きをみる
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曇りがちな日々に移ろう 猛暑を脱した 乾いた晴天 緑の高台 吹き下ろす風は踊りながら 煩わしい作業着の 皺くちゃな長袖シャツん中を 心地よく潜るんだ 別に変わったこと何か 全然ありゃしねえけど ただ煮え滾る真夏の監獄から 漸く抜け出せた感が すっきりとくっきりと頭上に だだっ広く澄んだあの空へ 映... 続きをみる
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どっかに開いた針先程の 小穴から空気の抜けていく 萎んだ浮き輪に掴まって 自棄くそでバタつき 疲れて脚を伸ばしゃ 足着く浅瀬にまだ独りきり 遠い海原はまるで蜃気楼 一向に近づく気配なし おぅ、見詰める両の瞳は 涙の滲む虚しさの双眼鏡 俺ぁここ数年 無我夢中って程じゃないけど 懸命にぼちぼちとぼり ... 続きをみる
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With my dizzy head ━抜け出してクラつく頭で━
膨れた熱を孕んだ空気 だらしなく脱力した 昼間の部屋を記憶に浮かべ 寡黙さだけが躰を素通り 浅い溜息 唇から漏れ 静かこめかみに意識は滲む 僅かばかり開けといた 少々破れた障子戸と 格子柄カーテン越しの窓から 未明の涼風 仄かな柔かさが 瞳を閉じた横顔に触れる その感覚は寄る辺ない ちゃちな俺の心... 続きをみる
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what is the new policy ー何が新しい政策なんだ?ー
ゲリラ的豪雨はstrike 怪しげな鈍雲集うなか 虎視眈々、俺達の動きを 見詰めつつ付け狙い 気が緩んだ隙を突き 意気なし猛烈な水傾れ 一気に打ち撒ける まるで国家包みの陰謀説 とんでもなく厄介で 狡猾な強か者だが この蒸し暑い季節には 嬉しいサプライズ 災害も恐いが案外 有難い慈雨にも思えて 昨... 続きをみる
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七夕祭りの幟が 河原の土手道にずらり並ぶ 当日にはムレムレの 人混みで溢れてごった返し 打ち上げ花火なんかドンパン 沢山あがっちゃって 綺麗だねそうだね愉しいね 皆んな笑顔で頷き合い 酷朱夏の檻サウナで 茹であがったど頭に 超絶濃辛チリソース 打っ掛けられたみたく ドギツい陽射し喰らって 汗ビチョ... 続きをみる
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必然唖然暑さのお釣 すかすかの心空 何処に行っちまったい 何事も省みない 天をも貫く勢いで 吼えたてる猛烈な激情 超然不屈の魂 今ではもう 抜け殻以上の脱ぎ捨て殻 残り滓以下の絞りカス 冷茶の飲み過ぎで たぷついた腹もついでに 掻っ浚ってくれよ ああ、 頗る気怠い蒸し風呂の夏 始まっちまう今日も... 続きをみる
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全くラチがあかねぇ 鬱屈の出所も行方知れず 得体の知れない 虚無に喘ぐ腹の内 俺は、 短い割り箸の先っぽで コッテリべとつく 黄金の水飴の塊に 運悪く捕まっちまった小羽虫 二進も三進もいかず 居たたまれない自分に 中途半端な青の一時が 白々しく注ぐ明け方 やわ風すら凪いだ 山池畔のベンチで 遅々... 続きをみる
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腰低く優しさせびり 他人の親切 ちょいと拝借 貰うだけ貰って知らん振り 雷型に血走る 黄ばんだギョロ眼で銭金の嫉妬 不幸をほのめかすように 嫌味を浴びせ高笑い ヘイ、儲け頭のおっさん なんだか悪い女の霊に 夜な夜な精気を 吸い取られているような 年々痩せ細っていく 老いゆく躰が 皆んな気がかりなだ... 続きをみる
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気力も尽きそな だらしなく緩んだ躰で 心も闇の中 人気のない 繁華街の路地裏を たわいもない理由で ほっつき歩いてんだ ぽつぽつ 頼りないネオンの 薄光んなか すっとまた一片が てぃらら、ぴぃらら と 漂い踊りながら 前髪を掠め 胸元辺りの 少し先を横切り 不意を突いて 足許に 不時着したりする... 続きをみる
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Very bad, late-night complaints
ふっ飛んでしまえ 地球なんて! 不謹慎なことを考えてしまう この、忙しい時期に ろくでもねぇな こん畜生め 夜更けの闇に囚われて 長閑な風と 月明かりの寂静 断崖絶壁に弛み立ち 有り得やしない ぶち当たる先の見えない フリーフォール ひと思いにこのまま ダイブしてやりてぇ 丁度いい、この二日 真橙... 続きをみる
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毛布に包まる 枕元の闇に ノイズの洪水 俄かに、怒涛の如く傾れこみ 浅い眠りを打ち砕く 瞬く薄目から じわり次第 その高鳴る音嵐に 瞼は完全に剥かれ 快晴続きの 好記録は 二週間余り 地に足つかず夢心地 突発的豪雨に破られた ほのぼのした 暖かな早春の日々が 一区切り いち早く八分咲き ... 続きをみる
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雑樹山に囲まれた 隠れ里 細く縫い走る県道 暗に目醒めた剛猛獣たち 地の奥底から 唸り声を上げ 次々と アスファルトに 旋回足で這い出し 超過速で疾走 その重く分厚い響きは とっぷり闇色に暮れる 野放図の静寂に 頑強な釣鐘を 打ち鳴らすよう轟く 遠くから徐々に 近づき 頭蓋に潜り込み 電動ハンマが... 続きをみる
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外気に晒された 柔肌を 引き裂くよう 辛い痛みを浴びせては 酷しい寒さは また 何も告げず退いて 霧に霞む昼下り 隣で しれっと 丸めた背中向け 不機嫌に口を噤む 恋人のような 垂れ籠める天上と 窓越しの宙空に揺れ散る 細やかな 惑い雨のなかに いつかしら 胸に焼きついた 過去に出会った先達から ... 続きをみる
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氷点下の激波が 山間部を襲う ぴりり骨まで麻痺る 指先を振っては 擦り合わせ 無駄踏みを繰り返し じんじんと 冷たさののたくる 足裏を宥めた そんな馴染めない 苛酷な日々が 続く、容赦なしに 陽漏れさえ 覗かぬ未明を へべれけの 轍も硬直する、 険しい道筋 ハンドルを 取られそうになりながら スロ... 続きをみる
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白黒縞の 小鳥が 無邪気な鳴き声を 砕石塗れの トラックヤードに転がして 番で 戯れ合う 帆布小屋の 短い桁幕へ 初陽に溶かされた霜が 光る雫を 拵えて ゆっくり落ちる その僅かな間、 こんなことを思った 音信不通になった 知性溢れる 気を病んだ か弱いあの人は 面白みに欠け 共感... 続きをみる
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冬の通り雨 ばさばさ と、短く降り弾け そして途絶え 高角度の 巨大な虹が 七色を携え 昇る (これは予兆なのか (戯れなのか 色濃い印象が 脳裏に焼き付いたまま 薄い残照が 緩やかな稜線を縁どる刻 遠退く夕空 闇坂に 人影途切れ 寒風が吹き抜ける 寂しさを覚え 振り向いた眼球の上端 真っ白な... 続きをみる
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何処へと 吸い寄せられるよう すうらりと流れる 朝霧に梳かれ艶剥け 弛い色鉛筆の スケッチにも似た かすれた風景のなか 暗色で身を包んだ 自分が佇む 顔前には 節くれ立つ梢がそそと 横疎らに伸びだし その腹と赤緑の 錆ゆく尖った葉先へ まるい雫を携え そっと光らせる 濡れた舗装路に ずらさず置いた... 続きをみる
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広く続くばかりの空で 斑に伸べる 鈍色の群雲達に 強い陽熱の 遮られた緩い早朝 そこから漏れだす 一本の優しげな光が 池面に流れる 淡い蒸気霧と静けさ 美しく包み照らし 山中に開けた 見晴らしのよい場景を クリアに浮きぼる 長息をひとつ放し 何げに俯く視線 足許に吹き溜まる カラフルな 秋の落ち葉... 続きをみる
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純愛映画かなんかで 感傷に浸り 瞳を潤ませる刻も割けず ただ、胸身に ひたすらになだれ込む 苦い重みをしょって 辛い登り坂道を もくもくと歩き続ける 先は東雲、帰りは暗闇 水鳥が不意つき 飛び去るように 隙の狭い スケジュールにせっつかれ 過ぎゆく日々また日々 心太を食べ忘れ ビーチにもいかず で... 続きをみる
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遠くを数える 眩い光を放つ PCモニターの向こう側 雲行きの妖しい 黒ずんだ天上が広がる そう、遥か彼方にも 僕らは時々 もう過ぎ去った 記憶の零す残像を見る 嬉々と脳裡に思い描く 今はまだ小さく 朧げなビジョンも 薄っすらと時に くっきりと 視界の情景に浮かばせ 静けさのなか 揺蕩いながら 寡黙... 続きをみる
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完全な真夏の 熱い陽射しを 全身に浴びながら 火照る肌を潤すように すうっと靡く 絹帯のような 風が触れる、時に 側道を足早に 進む 人影 洗い晒しの 爽や香りを清しく退ける そのなかにはきっと 浮きつ流る 粒汗の匂いも 前面に背に 見渡す ストレートロード この道は遥か西空の 積乱雲まで遠く 繋... 続きをみる
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久方ぶり 夏夕刻の空に鈍く転がる 豪大な重低音 せなせな と寂しげに下る蜩の声は 次第 仄明る 薄帷の向こうで 人気ない通りに 浮かび始めた 細かな雨脚の響くなか 遅れ拍子で 地面に打ち弾ける 甲高い雨垂れに また一瞬 手品のように隠されては か弱く零れる 耳を澄ませば 嬉しそな かわずの遠鳴き届... 続きをみる
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峠の脇路の下り 上目に坂を眺む折 斑模様に流れる 汚れ雲間から照す丸陽 山型に アスファルトへ落ちた 木陰に留まり しおらかに戦ぐ 枝葉の涼を 無意識に嗅ぎ過ごす と不意に颯爽 圧倒的な勢いで吹きつける 突風が緩い眠気を揺すり その直後 多次元宇宙の あらゆる処 梱包緩衝材の空気玉 一粒を両手指の... 続きをみる
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あら不思議 こんなことまで 出来ますよ的な プロバカンダ どっぷり浸って 豊かな生活 夢に見る 日に十件は来るPR広告 悪質な迷惑メール 全て削除するを クリックします 放送終了後三十分 今ならなんと 半額の割引価格 で特別ご奉仕 送料無料 分割手数料無料 安心の 一年間無償 故障... 続きをみる
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未だ 潤し雨も降りださぬまま 宵闇、 深く静まる 紺色の刻は瞬きもせず 満開に晴れ渡り 今夜 もう昇りもせず 暮れもしない火輪は 明日に目醒めた半球で 今頃きっと 厳めしく睨みを利かし 輝いていることだろう 茹だる暑さに涼し風 アンバランスな毎日 湿った薄明がま... 続きをみる
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生温い空気が 淀み、籠り始めた 穴蔵から 飛びだし走り出す 剰りにも爽やかな 鮮緑の情景 目一杯 吸い込みながら 追い越してゆく いつもの寄り道 いつもと違い 広々と 開き、満ち満ちて 光り揺蕩う 貯水池の畔 からりと乾いた 快晴の眩さ 初夏の昼下がり 典雅に 団扇から生まれたような 小風が幾度も... 続きをみる
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触れられはしない けど、時折 ひっそりと 浸ることのできる 曇りのない 清らかな 透明感 例えば、 白み始めたばかり 人気少ない早朝の 街場景に 湿らかに充ちる 冷たい静寂のなかに ちょっぴり 嫌味のない程度 スパイスが 振り掛けられる 硝子コップに注がれた 炭酸の気泡が 次々、細かく... 続きをみる
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変則で命中 深夜勤務 通い途上に立ち寄る 近く藪沼が隠れた 傾き気味の広い路側帯 細く 伸び掲ぐ外灯の 白明かりに 擦られ 薄く照らし出される 乱れた種々 雑木類の形 輪郭 涼やかで無色な匂い を呼吸する 足元の先に 絡む迷い草 小さな獣達だけが 入り込めるほどの 隙間を辿る奥まりで 息を潜める... 続きをみる
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扱き下ろす 罵り言葉 悪戯書きの消えない 開かずの廃倉庫 打ちっぱなしの コンクリート壁を 虚ろに 見詰めている 子どぶ鼠逹が 真闇を塞ぐ 茶錆びた鉄格子 から 薄明る外界へ 駿足で駆け降りる 尖った斜模様に湿り込む 残影 嵐めく 荒れ風、乱れ雨 微水片が ばらばら 飛び散り 頭を反らせ 鈍斑の空... 続きをみる
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まだ星月達の 煌々と覗いた 早朝の闇から 西陽の厳つい夕刻 まで 仕方のない精一杯 無気力になるまで 納得のうえ 目の眩むような忙しさ を 食い扶持目当てに 働いただけ 沸点を越えた 脳味噌に 消火液を 満遍なく浴びせかける 最善の選択 冷たい室陰に 滑り込む 薄窓帷で遮蔽された 密閉空間... 続きをみる
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さらり 舞い踊り、 はらり 降りゆく 幾千の花びら その 芳しい匂いのなか 滑るように 潜りながら 通りすぎる 目映さの裏 俯いた世間 何気に捲る 春の日々 いつの間にか 青い葉の新たに生まれた 細い銀の枝に 柔か花の満ちる 並木の記憶を 思い浮かべて 十余年の歳月 迷いながらも歩み続... 続きをみる
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一握り程のはぐれ雲が それは南方位へと 強く圧し浚う 素早い、七色の風に 打たれ 散り 解けるように変化する 軟らかに 姿を変えてゆく 激流を逆らい 命懸けで鰭を振る 川魚の如く模して 無心に泳ぐ 全身を 著しく 震わせながら も、 六十分の十五秒程度の 束の間 ふわり捲られ 乱さ... 続きをみる
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もう一人の 自分が 前頭葉の付近で 無意識に呟く 頼みもしないのに 巡る 暖かな春は 厄介な荷物を 引っ提げてやって来た と 疫病に蝕まれた この混沌とする世の中に またも 繰り返す、戦禍の報道 誰しもが望む 明日の平和を 踏みにじるように 毎度の帰宅ラッシュ のろつく 軽渋滞を食らう... 続きをみる
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春めいて来た というのかな こんな時 しぶい眼を瞬かせる 朝一番 鼻先を擽る 毛布の暗闇のなか いつもの芋虫スタイル 今日は寒さで 身体が震えない 二度寝三度寝、繰り返し のんびりと床上に転ぶ 満足のゆく快眠に ぱっちりと冴えた瞳 近く電線に留まる雀も スローテンポ 気持ち良さそうに 可愛らしい鳴... 続きをみる
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散々 降って また、ちらり と 暗宙に踊り始めた 今年の雪はいつまで続く 真っ黒に 塗り潰された夜更け 週末の街灯が 透き通る光で照らしだす スローモーション ふわり優しく 何度目の幻想? 数え忘れ 眺めている 空高く、 闇の向こう 飛びたって 自在に羽ばたいている 幾億の 眠れぬ鳥たちの夢 この... 続きをみる
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うっすらと黄ばみ 埃を被った デジタル式カメラ 液晶画像は繰られる 一年前 から すらりと進め 二年、三年前 彩る季節は廻り 四年前 その ひと齣に眼を留めた この秋の頃 一体 どんな風に暮らして と 遡る、風景写真のなか 透き通る せせらぎに 艶々と 飛沫に濡れる 石溜まりに流れ着き 崩れず... 続きをみる
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夜空を充たしながら 漂流していく 暗い雲塊を 腹の底に抱え 噴き出し続けるように 留まらず 途切れもせず 疲れの欠片も見せない 重々しく、木霊する 機械獣の唸り 清潔に保たれた 近代工業施設 コンビナート設備から 飛びだして 入り組む迷路の中を 隅々まで潜り、通り抜け、 走り回り 等間隔 側壁点... 続きをみる
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最西の果てに 沈んで泥む 降り陽から逃れるように 残照に映え 紅緋に燃え盛る 鬼顔犬が、翔る 紛紛と ちぎれ火を 後に撒き散らしながら その姿は 天井を ぎざぎざ と ざっくり 斜めに遮蔽された 宵寄り空に 高く引かれる 頑強な 鉄骨庇の下 左左、左側へ 奥へ しいん と そのまた奥へ す、す ... 続きをみる
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精も根も 尽き果ててしまったように 茫然と呟く 「もう、駄目だ」 僅か数個の記録文字さえも まともに書けない 家族のために 病に侵されながらも 頑なに日々の職務を全うする 半年と数ヵ月 気兼ねのいらない 愉快な同僚であり 信を置く 頼もしい、... 続きをみる
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すっぽり包まる 毛布のなか じわりと、返す吐息の 暗がりに咲いた 清み解ける場景 くっきりと 知らしめるよう 無調色の 真珠色に 瞬き震える 綺羅星の群れ そう、あれは 冷たく澄んだ 峠の外れ 高い頭上に開いた 艶めく 未詳のアンブレラ その遥か東向こう 寡黙に廻る 眩い... 続きをみる
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遠い北から遥々と 吹き抜ける 上衣を押さえて 爽風颯風 梢より 振り開け、そう 散るら ら るらら 煌びやかな歌声が 響きわたるような 大輪の色葉が 咲き乱れる 鮮やかな 眺望は 春の野原が靡くよう いずれは総て 羽ばたいてゆく 残された、万枝の巣に さよならを告げて あなたにも 聴こえるだ... 続きをみる
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時の刻まれるほどに 下へ 奥へと 抗えず じわりと沈み、その光は より遠ざかるように そして、 原形を留めることさえ 許されないかのよう 色濃く寄せはじめた 妖艶に棚引く青灰雲に 巻き消されて つかの間を照らし損ね 望みは、フラットに 跡かたも無く塗り込められた また、断続的に放たれる 途... 続きをみる
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朝の陽は、 漸く、 ん しかし また、厳めしく昂まり またしても 二度寝の タイミングを 取り逃がした 熟睡不足の 僕が だらしない 軟体動物のように這いつくばる 小部屋の か薄い 格子柄カーテンという名の ご安心フィルターに濾過されて やんわりと 目映い熱光を投げかけている されど、室温は... 続きをみる
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撫で下ろす胸と 移ろう季節に 今晩は。 展望台から見おろす 粒揃いの 街明かりで 敷き詰められ、 伸びやかに拡がる 煌びやかな情景のように 秋虫たちの賑やかに奏ずる 繊細で美しい 音律は 溢れるほどに 躰をとり巻く 闇へと踊り舞い とても、とても 浮き立つように 綺麗で すうっと... 続きをみる
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仲秋の 未 明、 薄い紫の夜空は ゆるやかに 集う 鈍雲の群れに酔いしれる 色濃い 丸月を 描いて 弄ぶ その裏側から 屑星、たちの やわらかな微笑が 降り注ぐよう 夢見る森を下り 住宅の 犇めく路地に 滑りだし 普く散りばめられた 求愛の瞬きは 今も 絶えまなく 傍らに そばだて... 続きをみる
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読んでいる 食んでいる 縁までちゃんと舐めている 粒々点々 画面にとことこ 映える文字 半分 つまらないけど 半分 ほっとするんだ ぺとぺと ぼとぼと ぱたぱたと、拾い続ける 高性能な鼓膜 はは 長雨のこと ぎゃたん、と 金属の擦れ打つ音 甲高く 網戸の向こうで ぼやけて... 続きをみる
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そうなのか、本当に 重い衝撃を 突き抜けたときの動転 フォーカスされる 砕かれた空 刹那 崩れるように 墜ちてゆく視線 束の間の平穏から 投げ出されて 真っ黒が敷かれた底へ 錆びついた過去に 滲むような 脆い光の向こう いつまでも割れない アブクに塗れながら 八十年代のどぶ川で カプチーノ色した... 続きをみる
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冷たさの戻りが 決して急ぐことのない春へ 穏やかに 放された空色 淡く、敷かれ列なる 雲の帯を見上げて ひとつずつ 擦りながら行方を追うと 遠く、ゆったりと鳶が廻る 凪いだ気温のグラフラインのように なだらかな稜の 裏側へ 階を辿るように 降りてゆく姿 すると、いつかの 柔らかな真夏の海が現れ... 続きをみる
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その一言が欲しい 僕はただ ーCurrnttly,delusion
誰かしらの 盲点につけ入るあざとさ を切り落としたい 死貝のように 半開きの 唇 から 立ち上る吐息は すわら か弱く細く 繋ぎ昇って 天井に打ち当たり 崩れ ゆっくり と 弾けるよう 靡いて進め 延べ張り 満たし 淀んで 揺れる ーーああ、ほら、春風を帯びた 青空を濁らせてしまった 窓辺から... 続きをみる
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追うほどに 延べ進む 淡き青と見馴れた街の 止めどなく繋がる あの幸先の景色へ 僕らは いつになく上機嫌で 振り放つように賭し 飛び立つように駆け また廻り来る 未知の風に伸せて きっと 導を残し より遠く 悩みの尽きない、世界を誘うー 「素敵だね」って、そんな言葉 期待してる訳じゃなくて ただ... 続きをみる
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澄みやかに綴られる 軟らかに冷やり 滑らかでいて そして、しめやかに通す 山気の海を 漕ぎ進み うねる螺旋の帯 無暗に振り伸ばしたような 峠路、とつと逸れて 行き足と追い熱 途中へ置き残し 未だ、囀りの届かない 森なかを歩み降る 人影なき長い坂道に 葉なし並樹は ゆったり、すらと 流れ過ぐ 香... 続きをみる
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淡いセピアに 落ち着く彩色を滲ませ 息潜む、森の風景は眠るように とても柔らかで そして寂しげな陰を担い したためて 干上がりそうな 濁る水溜まりにも似た 剥きだしの砂底が 殺伐とはだく 荒地の姿を模す 郊外に見受ける公園の グラウンドほどの窪みを 覗き込むように 取り巻く 無造作に差し置かれた ... 続きをみる
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細流の伝う その三千歩先で 微睡むように揺らぐ 鮮青な海を とめどない南の空に 暫し浮かべて ぴりりと横顔に滲みる 爽風の匂いと 冷たく淡に、過ぎる手触り そっと送る 静かな背へ 悴みほどけ正午前 なだらかな谷間 掬うように登る ゆったりと和みだし 綻ぶ軒並み うねうねと曲がりくねる 幅狭な坂道の... 続きをみる
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固いプルタブに 圧されて跳ね上がり 淡く香る ソーダ水の細かな気泡が 渇いた喉へとくとく運び転げ 愉快に弾けるように 冷たく吹き競う潮風は 艶めく深い エメラルドを想わせる 水面を乱し踊らせながら その漣を煌めかせて止まない 遠き過去に洗われた 戦渦の面影が入り混じる 弓なりに広い 賑やかな港街... 続きをみる
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澄み拡がり 明るさに満ちた 十一月の空を渡る 逸れ雲は 長閑なパントマイム 気まぐれに浮かべ漂う 森を辿る なだらかな曲がり路で 褪せた黒の毛皮を纏うスリムな旅猫 愛らしい撫で声 ひとつだけ残し 気品を湛えた足どりで 側溝の傍をしなやかに歩み 白やつれの増えた草むらの中へ ひっそりと姿を消して ま... 続きをみる
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峠の森で 土砂崩れに抉られた爪痕が 乾き澄む空へ放される 秋づく景色を破ったまま 無残な姿をはだける 寸断された道路にも やさしい午後の陽差しは 柔らかな温もりを灯す 乱れ草からむ 雑樹の透き間に オリーブ色の池の水面は細やかに滲み やがて 幾重にも連なる さざ波を作り 煌びやかに瞬く星屑のような... 続きをみる
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-波打つノイズの海に やわらかに透き通る ピアノの音色を そっと乗せる 赤錆の滲む鉄骨の 複雑に組み込まれた 難解な立体パズル 整然と縦横に並び 歪曲しながら走り巡る 配管パイプの巧妙な迷路 積もる埃に汚された 剥きだしのコンクリートは 儚い役目を全うし終えた 巨象の骸のように経つ 眠... 続きをみる
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