追懐に滲む淡色
漸く訪れた春陽
少しだけ見詰めた
いつもの道程で
満開に咲く桜花を
もう3度目の雨が
今宵 激しく荒ぶ
散り撒けてしまうのか
あの柔かに目映い
花弁は儚くも殆ど
重暗い雨脚の響く
天井を眺めて
想い出している
記憶を遡りじっと
丁度 去年の今頃
林道の桜並木から
胡蝶のように優しく
舞って揺れ落つ
無数の花片の寂を
そして何時か
温満ちる更に遠き
快晴の昼下がり
線路沿いに
広く開いた
大きな桜樹が覆う街道
静穏に独り漫ろ
歩んで行く君と
もう決して
呼び戻せない時間
そしてもう二度と
振り返ることの無い
細い背中すらり
長い髪の後ろ姿も
馬鹿みたいに未だ
引き摺ってる今も
甘く緩い桜風が
この自室に漂って
土砂振りの雨と
遣る瀬ない気持ちと
こんな夜更けに