このままふらっと
薄れだす藍の帷 せせこまし住宅街 涼らと 風だけ吹き通す 目醒めたままの くしゃくしゃ頭 後ろに反らして 細く開けた屋根間に高く 快夏青天 きらりと重なり 珠には も少し遠くに行けよ 何て語りかける 草臥れ尽くして 眠るだけ 日々ゆく躰は重いけど まだまだ ちょいと もうひと踏ん張り そんな気持ち... 続きをみる
鎮む熱り 途の鳴り頻る その声を無尽に浴び
未だ 潤し雨も降りださぬまま 宵闇、 深く静まる 紺色の刻は瞬きもせず 満開に晴れ渡り 今夜 もう昇りもせず 暮れもしない火輪は 明日に目醒めた半球で 今頃きっと 厳めしく睨みを利かし 輝いていることだろう 茹だる暑さに涼し風 アンバランスな毎日 湿った薄明がま... 続きをみる
解き放される瞬間は ありふれた道程のなかに
生温い空気が 淀み、籠り始めた 穴蔵から 飛びだし走り出す 剰りにも爽やかな 鮮緑の情景 目一杯 吸い込みながら 追い越してゆく いつもの寄り道 いつもと違い 広々と 開き、満ち満ちて 光り揺蕩う 貯水池の畔 からりと乾いた 快晴の眩さ 初夏の昼下がり 典雅に 団扇から生まれたような 小風が幾度も... 続きをみる