追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

悶々退治 ーagony exterminationー

全くラチがあかねぇ
鬱屈の出所も行方知れず
得体の知れない 
虚無に喘ぐ腹の内


俺は、


短い割り箸の先っぽで
コッテリべとつく
黄金の水飴の塊に
運悪く捕まっちまった小羽虫



二進も三進もいかず
居たたまれない自分に
中途半端な青の一時が
白々しく注ぐ明け方


やわ風すら凪いだ
山池畔のベンチで
遅々と時間の進まない腕時計
液晶数字を何度もチラ見


よそよそしく
囁きはじめる
樹々に紛れた野鳥の群れ
周りの草露達は閑かに嘲る



固まりかけた重い腰
じっくり持ちあげると
とっぷり霧で滲んだ村が
遠目にしゃがみ堰の裏


雲海擬きに訳なく
すっぽり隠れちまった


そこへ向かって
瞬速で宙を走り
追い掛けていって躰ごと
闇雲に突っ込んで


田園地帯に急転落下
異次元のスピード
こっ酷く底に叩きつけられ
粉微塵になってしまいてぇ



猫丸背に伸し掛かる
気怠いアンニュイに
痺れを切らし
か細い両腕を
最大限に広げるイメージで
肺一杯に空気を呼び込む


いつも嘘臭えばっか
世迷言のオンパレード
そんなしょうもねえ
世間の柵ヘッドロック


雑念を払い除け
エノコログサに変身し
しゅるりするり抜け出して
そこで一発 adiós amigo


俺はもう一人の
へなちょこな俺に
目ん玉が飛びだすほど超強烈な
ジャーマンスープレックスを
脳裡のリングアウトで
思っくそ打ち噛ます




























※agony extermination…
(アガニー エクスターミネーション)
 苦痛の殲滅。


※ジャーマンスープレックス…
 相手の背後から組み付き後ろへ反り投げる。
 プロレス技の一種。

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