追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

overflow ━蒸熱地獄で激情噴火━

七夕祭りの幟が
河原の土手道にずらり並ぶ
当日にはムレムレの
人混みで溢れてごった返し
打ち上げ花火なんかドンパン
沢山あがっちゃって
綺麗だねそうだね愉しいね
皆んな笑顔で頷き合い


酷朱夏の檻サウナで
茹であがったど頭に
超絶濃辛チリソース
打っ掛けられたみたく
ドギツい陽射し喰らって
汗ビチョんなって過ごした
真昼間のどうしょうもねぇ暑さ
冷めた緩風で潤すんだろうな


俺ぁまるっきし、
行く気もねぇけど
そんなこと
考えてッと満更でもねえかな
何て思えて来たりするもんさ


この丸っこい地球に居て
同じ空気吸っちゃってる限り
どの国に住もうが
四季は巡ることに変わりねえ
仕方ねぇわな暑いといえど
そう悪いこと許りでもないし


そうだよな、世界には
よく家の近所で銃声が 
パハァン ズドァン
飛び交って落ち落ち
夜も眠れねえとこだってある
それを思い浮かべればな


低賃金で細々と暮らし
ちょいと貧しくとも
そこそこ治安のいい
ちゃちで理屈っぽい
玩具たちに洗脳され捲った
平和呆け気味の日本に生まれて
全くラッキーだったぜ


んでもなぁ


この熱気の充満する
生き地獄の爆晴れの日にゃ
マジ嫌んなる外労働だけど
つい先日の暮れ泥む夕刻
何もかもどうでもよくなって
「もう仕事辞めたいです」


何て今年2度目の
逃避願望そのまま
上司に速攻ラインしたけど
「俺が辞めるまで辞めないでくれ」
って、やっぱし泣きつかれ
これまた引き止められる始末


そう言われるともちっと
頑張ってみようかなって
思うんだよこれが性
当たり前なんだろうけどな
そんな躁鬱の波が時に
甚だ大袈裟に訪れる俺


まぁ同じ業界でころり
転職したとこでまた
するこたぁ一緒だから
それなら少しでも給料が良いに
越したことねぇからな、だろ?
そういうことさね


それでもよぉ


うばおらぁやりるぬんじゃ
んだりゃいほだりゃ俺ゃあ
やってやりんまっすどぉぜ
やっちまってやんのよおぅ
新たにやって来る糞ダリぃ
スーパーエルニーニョ現象
とか何とかんなかをよあぉ


退屈極まりないこっから
何故だか真珠湾沖を目指し
全猛速力で海水搔き
泳ぎ切る勢いで疾走
オータムシーズンに
体当たりで突っ込むまで
とことんイッちまうぞああぁ


コノクソ野郎がぁおおおお
ドフヌケ野郎がぁおおおお
チンカス野郎がぁおおおお
熱中症対策う忘れんなよっ
絶対ぶっ倒れんじゃねえぞ
分かったなこの屁たれ虫ぃ
何て阿保な嘘でもヘチマでも
空きっ腹に言い聞かせでもしなきゃ
やってらんねえぞんだらぁ!!

灼熱の残響 ーmy dear summer sunー

必然唖然暑さのお釣
すかすかの心空
何処に行っちまったい
何事も省みない
天をも貫く勢いで
吼えたてる猛烈な激情 


超然不屈の魂


今ではもう
抜け殻以上の脱ぎ捨て殻
残り滓以下の絞りカス
冷茶の飲み過ぎで
たぷついた腹もついでに
掻っ浚ってくれよ


ああ、
頗る気怠い蒸し風呂の夏
始まっちまう今日も


辛気臭く
やんわり仄暗い
平凡住宅街の片隅
梅雨時のこざっぱりした朝
散るりら細やかに、
虫の音零れ
湿っぽく涼やかな
この身を取り巻く
空間含包物の微動すら
肌に感知できない


静謐の裏地にまで耳澄ます
最奥のそのまた
最央に潜り込み
内部のそのまた深部
とってもデリケートで
ナイーブな秘密を
嫌らしく探るように



カタツムリの
ネロネロと歩む速度で
時間が滑らかに進みだす
生きとし生けるものの
透明度の高い目醒め


産まれたて総ての
エナジーがこの草臥れた
ぽんこつな躯を見つけ
憐れむように流れ込む
そんな気がするんだ


ありふれた大宇宙の中の
ありふれた世界図の中の
ありふれた山間地の中の
ありふれた状景色の中の
うらびれた俺は


良いんじゃないかなって
そんな感じで無難な所で
丁度いいんじゃない?
しょうもない自分には
お似合いさこのぐらいが
何て今は思えている


しかし


留まることはない
ミリ秒は捲られ続ける
ジリジリと 瞬間という
場面のスライス


ぐぅおぬがだおらぶら
あの太陽の野郎がよぅ
あのくそでけぇ
魔夏太陽の
クソバカヤロゥがよう!


何て極端に
胸糞悪くなって全身が
煮えたぎるように苛つき
頭ん中までイッちまう
熾烈な真っ昼間も
厳つく、容赦なく
狂気溌剌でこれまた
信じられねえふてぶてしさ全開
我が物顔でもう直
ギラメラとやって来る

























※my dear summer sun…
我が親愛なる魔夏の太陽。

悶々退治 ーagony exterminationー

全くラチがあかねぇ
鬱屈の出所も行方知れず
得体の知れない 
虚無に喘ぐ腹の内


俺は、


短い割り箸の先っぽで
コッテリべとつく
黄金の水飴の塊に
運悪く捕まっちまった小羽虫



二進も三進もいかず
居たたまれない自分に
中途半端な青の一時が
白々しく注ぐ明け方


やわ風すら凪いだ
山池畔のベンチで
遅々と時間の進まない腕時計
液晶数字を何度もチラ見


よそよそしく
囁きはじめる
樹々に紛れた野鳥の群れ
周りの草露達は閑かに嘲る



固まりかけた重い腰
じっくり持ちあげると
とっぷり霧で滲んだ村が
遠目にしゃがみ堰の裏


雲海擬きに訳なく
すっぽり隠れちまった


そこへ向かって
瞬速で宙を走り
追い掛けていって躰ごと
闇雲に突っ込んで


田園地帯に急転落下
異次元のスピード
こっ酷く底に叩きつけられ
粉微塵になってしまいてぇ



猫丸背に伸し掛かる
気怠いアンニュイに
痺れを切らし
か細い両腕を
最大限に広げるイメージで
肺一杯に空気を呼び込む


いつも嘘臭えばっか
世迷言のオンパレード
そんなしょうもねえ
世間の柵ヘッドロック


雑念を払い除け
エノコログサに変身し
しゅるりするり抜け出して
そこで一発 adiós amigo


俺はもう一人の
へなちょこな俺に
目ん玉が飛びだすほど超強烈な
ジャーマンスープレックスを
脳裡のリングアウトで
思っくそ打ち噛ます




























※agony extermination…
(アガニー エクスターミネーション)
 苦痛の殲滅。


※ジャーマンスープレックス…
 相手の背後から組み付き後ろへ反り投げる。
 プロレス技の一種。