追想の彼方

自然の中で、日々の暮らしの中で…移り変わり揺れ動く心の内を 気儘にも身勝手にも感じるままに。

おでんの種が芽吹く季節に

きっと
逃避願望なんだろうな
冷んやりとする山気
狭い登坂路に被さる木陰


久々のんびりとした
ブロッコリー型の雑林
入口付近に届き集まる
極めて密やかな囀り


何気に胸撫で下ろし
兎にも角にも落ち着く
山裾のありふれた場所


無心でゆるり歩みながら
寒気に移ろう樹々や落葉
周りの景色を眺めている


舞いながらひとひらが
そしてまたひとひらと
間近にも秋風に煽られ


アスファルト舗装に
音立て降り転ぶ 心地よく
続く風浴び瞼を閉じると


いつか見た覚えのある
洗剤のCMが瞬きに合わせ
眼の裏に薄らみえた


緑の芝生の広い庭に
金髪で異国育ちのママが
満面の笑みを浮かべてる


沢山の真っ白なTシャツが、 
物干しに並べられて
清しく吹き抜ける涼風に


嬉しそうに踊り 燥ぐ
子供たちみたく靡いてる 
ソレになりたいのかな?


揉まれ終わってさ
きれいさっぱり
洗濯ものたちみたいに
晴天の眩い庭に干されて


じめじめした
万年床のよう重く湿った、
変わり映えしない気分を
乾かしたいのかな


何なら
風に吹かれついでに
あひゃひゃと笑いながら
ひょいと宙に舞い上がり


そのまま何処までも
ふらり飛んでって
お約束ルーティンの檻から


いつの間にか
ぽーんと投げだされ
流されちゃってしまいたい


ああ、あり得ない妄想
それこそ正に己のリアル
飽きちゃってる証拠だ


旅にでも出ましょうか?
いやいや 暫くは無理かな
年がら年中忙しく続く日々


せせこまし時に託けて
産めや増やせや
タスクのオンパレード


あれよという間に
またも締め切り寸前
焦燥感に駆られる戦慄


堆積してゆく虚脱感
疲れ易い体質なんだから
こりゃま考えても
仕方ないね御ゆるりと


今夜は、
おでん種達に仲間入り


なみなみと満ちた
温かいお風呂に浸り込み
身体を癒して明日もさぁさ
程々気楽に頑張りましょか

完熟放心 ─Rakugo language─

ゴォンロゴロゥリリー
グヮォンダウダララー
二日間もお休みもらいの
薄暗い部屋に日がな一日
ぐでぇっと寝そべり
お前何してんのかって?


捻ってんのさぁ
スッカラカンな頭ん中で
なんかわかんないけど、
いいアイデア湧いて
出て来ねえかなって
気張ってもいるんだぜ


う゛~ん
ブホブリバリビリっ!!
あぢゃ、
お尻破れちゃったかな?
パンツが重たいような
変な匂いもするような


そんなこたぁ
どうでもいいんだよお
あんたなぁ こんもりぃ
ベツのもん出て来ても
しゃーないんだけどさ


んじゃぁ
どうすりゃいんだよ一体


くだらねぇなぁ、
糞くせぇからっつって
何だっていうんだよな
どうしたっていうんだよ
どうしろってんだよな全く


ちゃんとしたもん
書けってんだよな?


んま、分かったよ
分かりましたよってば
俺からこの胸のボクに
ちゃんと言っておきますぅ
ちゃぁんと言って聞かせます



お前なぁにゃろうめ
一応詩詠みなんだろぉが
あぁぁぉ?
舐めてっじゃねぇぞぉ
コノヤロぅ唐変木がぁ
ワンパン1発ブチ喰らわすぞ?
性根入れてやれよっ、
あほんだらミソカスゥ!!



よし、
これで大丈夫と思うけど
このぐうたらも
しこたま厳しい夏を
何とかかんとか泳ぎ抜き
それで溜まった疲れが 


ずばばばぁっと
身体中から噴き出し序で
デトックスしてるんだと


許いてやっておくんなせ
この三下奴めにびしっと
お灸すえてやりましたんで
へぃ ま、休日なもんでね
このくらいでこんな具合で
てへへへあれっ、れっ


にしてもあぁ 自棄にい
涼しくなったもんですなぁ


んむにゃらふにゃういら
へえろれろひふうんぬる
あゅ~、お眠ですぅ 
もうダミぇ んんあの 
ど酷暑の地獄の茹で釜で
ぐぉらぐぁらぬむらとぉ


うどんのよう煮込まれた
絶苦汁の日々に 乾杯ぃ


そりではまぁた何時ぞ
まんまるな月の明かりに
照らされ遠くまで 
仄かに脳裡に優しく浮かぶ
心地よい穏やかな風吹き
艶やかに光り揺蕩う
夢の碧い草原で会いまひょう

























※Rakugo language…
落言語化。

angel of literature  ─液晶パネルの向こう側に─

君のなかには
早朝の湖を臨むごとく
取り乱すものが微塵も見えない


透明なそよ風にそっと
送られてくるような手紙
受け取るだけだからかな


一体どこにいるんだい?
とても柔らかに澄んだ
仄か柑橘の香りが浮かぶ


君はエンジェル
俺のなかで届かぬ距離
いつも遠くから俺を見守り
安らぎを与えてくれる


そしてたおやかな温もりで
労り慰め包み込んでくれる


人間に生まれ変わった
君がこの世に言葉を紡ぎだし
どれだけ多くの人々を
癒やし救ってきたのか


わかりはしないけど
この胸の一番深く
揺るぎない部分で君を
求めているのは確かさ


けれど、
この長い人生の先でも
来世でも再来世でも
永遠に結ばれることが
なかったとしても


君を信じている
魂が訴えてくんのさ
この瞬間が命だって
だから俺は
もう一歩高く舞い上がれるんだ
















※angel of literature…
文学世界の天使。